吹き抜けは、上の階の床を取り除いて、下の階に2階分の天井高の大きな空間を生み出してくれますが、それにより明るく開放的な室内をつくり出してくれます。こうしたことは、すでに知っている方も多いと思いますが、吹き抜け空間には他にも様々なメリットがあります。そこで今回は、松岡淳建築設計事務所が手がけた建物を通じて、住まいを明るく開放的にしてくれる吹き抜けの魅力について紹介していきたいと思います。吹き抜けを取り入れようと考えている方は、今回の魅力も活かされるような家づくりをしてみて下さい!
吹き抜けは、明るく開放的な空間にしてくれることに加えて、家族の距離が近くに感じられる住まいにしてくれることもその大きな魅力です。上の階の床を取り除くことで、下と上の階が吹き抜けを通してつながり、家族が下と上の階に分かれていても、それぞれの声や気配がいつでも感じられます。多くの場合、リビング空間だけに吹き抜けが設けられますが、こちらの住まいのようにキッチンを含めた大きな吹き抜けとすることで、圧倒的な開放感を持つ住まいの中心空間をつくってみてはいかがでしょうか。
写真::鈴木賢一
吹き抜けの大きな空間によって、効率的な自然換気が行われることもその魅力となるでしょう。暖かい空気というのは上へと上昇していく性質があることから、吹き抜けのような天井の高い空間があると、自然と上へと流れていく空気の流れが生み出されます。これは、家の換気が自然に行われることだけでなく、夏の暑い時期でも冷房をつける必要がないような心地良い風が吹き抜ける住まいともしてくれるでしょう。
上の階の床が取り除かれることで、垂直方向の広がりが生み出される吹き抜けですが、それに加えて、大きな開口で水平方向にも広がりを持たせることで、室内だけで完結するのではなく、屋外空間も含めた大きな空間を住まいにつくり出すことができます。こちらの住まいのように、大開口の部分を全開口のサッシを取り入れたり、室内と屋外部分の床材に同じ素材を用いることで、内と外の境が曖昧になるような室内空間の広がりをつくり出してはいかがでしょうか。
写真:Atsushi ISHIDA
吹き抜けを取り入れることを躊躇している方は、上の階を取り除くことによって、家全体の床面積が小さくなってしまうことが気になっているのではないでしょうか。比較的小さな住まいとなる場合は、吹き抜けを取り入れることが一番の方法とはなり得ない可能性もありますが、階段を持つ住まいであれば、階段室の下と上の階のつながりを利用しながら、天窓をその上部に設けることで、階段の壁に窓を開けられない際でも、その空間に明るさと開放感をもたらすことができます。
上でも述べたように、吹き抜けによって床面積が小さくなってしまうことに引っかかってしまう方も少なくありません。そのような方は、吹き抜けではなく、他の方法によって住まいを明るく開放的なものにすることも検討してみるといいでしょう。例えば、壁の高い場所に窓を設ける高窓や小屋組みが見えてくるような天井現し、単純に天井高を少し高く設定するだけでもいいでしょう。吹き抜けと同じような空間となるわけではありませんが、空間を通常のものとは違ったものにしてくれますので、それぞれの住まいや生活スタイルなどに合ったものを建築家とともに見つけてみてはいかがでしょうか。
▶松岡淳建築設計事務所が手がけた建物はこちらでも紹介しています◀