廊下は住戸内の部屋と部屋や部屋と玄関をつなぐ役割があります。近年はマンションなど、極力廊下をなくして生活動線を短くした設計の住宅もみられます。一見すると無駄に感じられる廊下ではありますが、インテリアデザインの一部としてとらえると、豊かな暮らしを送るヒントが見えてくるのではないでしょうか。今回は廊下にフォーカスし、我が家らしくデザインする方法について考えていきたいと思います。
まずは部屋と部屋をブリッジでつなぐタイプの廊下についてみていきましょう。ブリッジ状の廊下は一戸建て住宅によくみられます。リビングの吹き抜けを利用しているので、開放的な住まいを目指す方におすすめできる形状の廊下です。廊下のある家はない家に比べてプライバシーを保ちやすいですが、ブリッジ型の廊下は物理的に個室を離すことができるので、プライバシーの確保に特に有効といえるでしょう。
この廊下は階段と並行して計画され、離れた個室どうしをリビングルームの上部にある廊下でつなげています。互いの個室の独立性を尊重しながら、空間全体に一体感が感じられる廊下です。
こちらは主寝室と子ども室を廊下で結んでいます。渡り廊下には大きな窓があり、1階にあるリビングダイニングに光を取り入れるうえでも大切な役割を果たしています。
次に、玄関と部屋をつなぐ廊下について考えてみましょう。廊下は暗く、空気がよどみがちな空間なので、通風と採光に工夫が必要なことも。廊下を暗くしたくないけれど隣地が迫っていて窓を取りにくい場合、地窓で自然光を取り入れることもできます。地窓のそばに高窓があれば、風通しにも効果的です。足元から見える小さな景色も魅力的ですよ。
絵を飾るのが好きな方や自分でも絵を描く方には、廊下はうってつけのギャラリーになります。この住宅では、玄関から廊下は居住者の作品のギャラリーとしても機能しています。スリット状のトップライトからはRC打ち放しのギャラリー壁に柔らかな自然光が差し、作品の魅力をいっそう高めてくれます。
猫ちゃんと暮らす住まいだったら、廊下の壁にひと工夫してみるのはいかがでしょうか。猫の階段や、階段のように猫が使える飾り棚の猫ステップボックスが、お家で暮らす猫ちゃんの運動不足を解消してくれそうです。
数寄屋造りの一戸建て住宅には玄関から和室をつなぐ、木の香ただよう廊下も素敵です。こちらお宅は、廊下をはじめ住宅全体の柱や梁材は大工の手により加工されたものを使用しています。 伝統的な工法にアレンジを加え、古びた印象にならないように工夫されています。
こちらは住宅を建て替えるときに、建て替え前の住まいの欄間を廊下の天井に再利用しています。思い出の刻まれた部材を再利用し継承することで、新しい家にもどこか懐かしい風景が感じられます。
最後に、構造からデザインが生まれた廊下をご紹介します。
こちらの廊下の窓に設置されているルーバーは住宅の構造体の一部をなしています。ルーバーは景色を切り取って見せてくれるほか、隣地の建物や道路を走る車など廊下から入る景色を適度に制限する役割も担っています。廊下の構造材が特徴的な場合は、このようなかたちでデザインに生かすことができます。
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