リノベーションして古い建物の価値を最大限に生かそう!

Michi Koba Michi Koba
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昨今日本でもポピュラーになりつつある建物のリノベーション。一般の建物の価値は年数が経過するごとに下がり続ける、というのが今までの日本での常識でした。しかし、欧米各国のように、建物を大事に扱い、修理しながら価値を下げることなく住み続け、また時には大規模なリノベーションを行うことでその価値を上げる、というのも日本でも可能になりつつあります。環境に配慮し、お財布に優しく、古いものの良さを発見することができる等、リノベーションには魅力がたくさん詰まっています。今回ご紹介するNANO ARCHITECTSによるこちらの住まいも、60年代に建てられたマンションの一室をリノベーションしたもの。元の部屋の特徴、良さを継承しつつも、現代の生活に合った、明るくモダンな部屋となりました。では詳しく見て行きましょう。

photos:Yasunori Hidaka

老朽化したマンションの再生

このリノベーションは築40年を超える「山王マンション」を再生させるプロジェクトの一環として行われたものです。様々な分野のデザイナーたちが長期空室となっている約10部屋をそれぞれ独自にデザインしリノベーションしました。実はこのマンション、1967年建設当時は誰もが憧れるような最新鋭の設備を備えた高級マンションでした。しかし年月の経過と共に老朽化したマンションは入居率が低下し、その市場価値は非常に低いものとなっていました。このプロジェクトで建築家は、この古いマンションの一室にも独自の価値があると考え、その価値を最大限に引き出し、再生することを提案しています。

古いものの価値を見直し、それを引き出す

この物件にはもともと3室の和室とキッチンスペースがありましたが、リノベーションに際して2室にフローリングを敷いてそれぞれリビング、ダイニングキッチンとし、残り一部屋が和室(寝室)いう構成がとられました。こちらはリビングスペースの様子です。この空間でまずアイキャッチとなっているのが窓際にすくっと伸びる流木のオブジェです。水際に横たわっている流木には何の価値もなく、使い道もありません。ただそれがこの部屋に持ち込まれ、こうして飾られることでその存在に価値が生まれます。流木の持つ自然美が独自のデザインとして最大限に生かされるのです。建築家はこれを物の価値の転換ととらえ、この老朽化したマンションのリノベーションでも同じことが起こることを暗示しています。またその流木が「生えている」地袋には縁台がかぶせられ、窓際という気持ちの良い場所に腰かけられるようになっています。

柔らかな光が差し込む和室

こちらはリビングの隣に位置する和室の様子です。畳は縁がないものが用いられ、モダンな雰囲気です。この和室では地袋の襖が撤去され、障子が建て込まれています。また天井部分は、コンクリートスラブを表しにして塗装で仕上げることで作りこみすぎない、ラフで自然な印象となっています。更に、白く塗装して再利用された障子からは柔らかい光が漏れ、温かみのある落ち着いた空間となっています。

離れてるけどつながっている空間

和室とリビング、二つの部屋のつながり方もこのリノベーションでの興味深い点です。障子と縁台がある窓際が2部屋を貫通しており、更に壁に大きな開口を設けることで空間同士のつながりをさらに強いものにしています。この開口によって和室からも流木のオブジェを眺めることができ、壁に開けられたその他の「小窓」とともに、リビングと和室の間の「離れているけどつながっている」という微妙な距離感と一体感を生み出しています。

棚でさりげなく空間を仕切ろう

最後にご紹介するのがこちらの棚。この棚は玄関からリビングへ続く廊下部分とダイニングキッチンの間に設けられています。このように棚を利用すれば、開放感を保ちつつ、さりげなく空間を仕切ることができると同時に、たくさんの収納スペースを確保することができます。また棚板の位置を自由にアレンジできるようデザインされているので置くものの高さに合わせて柔軟な対応が可能です。

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