トコしえと向き合う:床の間

Rei Watanabe Rei Watanabe
Villa Boomerang, 森吉直剛アトリエ/MORIYOSHI NAOTAKE ATELIER ARCHITECTS 森吉直剛アトリエ/MORIYOSHI NAOTAKE ATELIER ARCHITECTS Dormitorios de estilo moderno
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新しい住宅でも和室を取り入れることは珍しくありませんが、伝統的な床の間のついた和室となると、古い家でなければ、なかなか目にすることが出来なくなりました。使う為の和室であれば、床の間を作ってスペースを削る必要もありませんが、過ごす為の和室であれば、床の間は削ることの出来ない大切な要素です。静かに床の間に向かえば、心を落ち着けて自分と向き合うことが出来るでしょう。

曲線の美しい袋床

縁なしの畳と天井板、モダンなデザインの障子、全体的に飾り気の無い直線的な部屋に、床の間の曲線が目を引きます。三浦喜世建築設計事務所によるこちらの和室に設置された床の間は、袋床の伝統を受け継ぎながらも、袖壁と下り壁を一体とした塗り壁を持ち、その曲線は床柱を超えてそのまま柔らかい線を描き続けます。書院窓から差し込む障子越しの柔らかい光が美しい床の間です。

朱色と月光の光る床の間

片倉隆幸建築研究室によるこちらの床の間は、真っ赤な地板が美しいですね。茶室の裏は中庭になっており、床の間中央の窓を開けると水盤のある石庭を眺めることができます。月夜には石と見ずに反射した光が入ってくるというこの窓、せっかくのオシャレな照明も落として座っていたいですね。正面の壁に大きめの空白を取るセンスも地板の朱も、光る程に磨きがかかっています。

淡い部屋に重厚な床の間

森吉直剛アトリエ /MORIYOSHI NAOTAKE ATELIER ARCHITECTSによるこちらの別荘も、モダンなテイストを足した和室になっています。全体的に白や淡く薄い色で統一された和室を、光沢感を持った深い色合いの床板と天袋が引き締めます。天袋というよりも釣床の様にも見ることが出来る床板の繋がり、自由な発想でデザインを楽しむ現代の床の間です。建築設計事務所光の取り込みを映し出す程に磨き上げられた素材が重厚です。

コンパクトな床の間

ARCHITECT SHOW CO., LTDによるこちらの和室は、限られた広さながらも、大きな窓で中庭に繋がった贅沢な空間になっています。床の間風のスペースは照明と壁の色がとてもモダンです。高さが奥行きを下回ることが、床の間という他の空間から区別された、眺める為の場所であるという存在感を生み出しています。限られた空間に作られた小さなスペースながら、床の間としての機能をしっかりと果たしています。

写真:Toshihisa Ishii

竹の美しい下り壁

株式会社オオタデザインオフィスによるこちらの和室も、床の間に設けられた小窓が中庭に面しています。明るい光を通す障子窓は外部ではなくリビングに面しています。明るい光が、家族の居るリビングから差し込んでいるという安心感は、和室で過ごす静かな時間に、心を温めるものになりそうです。下り壁の縁を飾る竹材の虎斑模様が美しいですね。

自然木の床柱

homify Salas de entretenimiento

こちらの床の間は違い棚を支える二本の自然木が魅力的です。建築設計事務所山田屋が古い蔵屋敷の再生と新築部の増築を行ったこちらの家の床の間は、トップライトが埋め込まれています。伝統的な床の間では、採光口である付書院側の棚を高く設けますが、上部から光の当たるこちらの床の間は壁に近い側を高く設けてあります。そして自然木も重量感のあるものを右に置き全体のバランスが整っています。

アフリカ産木材の地板

こちらは松田靖弘建築設計室による共同住宅ビルの和室です。地板に熱帯アフリカの木材ブビンガの一枚板を使用しています。ブビンガ独特の木目と赤い色味と、砂壁のような色に仕上げられた和室の壁は、こんなに相性が良いのですね。全体がマットな質感で統一されている部屋は床に飾る物を選ばず、また、床に飾られたものを引き立てる効果があります。

床の間アート

こちらはごく一般的な床の間ですが、飾り方の新しいアイデアを一つご紹介致します。MINDSCAPE DESIGN FACTORYは、旅館客室の床の間に無数の糸を下げました。シンプルなアイデアですが、楽しみ方の幅は奥が深いものとなっています。風に揺られて、触れて、窓の外に広がる林の風景との兼ね合いを楽しんで、照明を落として、シンプルだからこそ飽きさせないものになっています。

京唐紙が飾る床の間

アトリエ・ブリコラージュ一級建築士事務所によるこちらの家の和室は、可愛らしい感じがしますね。床の間を右にくる逆勝手となる床の間は、丸太を床柱とし、肥松の地板は高さを上げない踏込床になっています。地元京都の唐紙を使った床脇棚は、ランプシェードと共に、四角い部屋にまろやかさを加えるワンポイントとして効いています。

コンクリートの映える床の間

株式会社河口設計のこちらの家は、建物の内外に打ちっ放しコンクリートの美しさを見せていますが、それは和室にも及んでいます。高さを抑えた障子から格子状の光が差し込みます。床の間を区切る下り壁は、天井に着けずに長い板を渡しており、部屋の照明の一部が床の間を照らし出します。中央を僅かに超える床柱とが、棚と地板の交差するダイナミックな空間を生み出します。

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