充填断熱あるいは外張り断熱かで、住まいの断熱方法を迷っている方もいらっしゃると思います。現在、家づくりの中でも住まいの断熱性能を高めていくことは当たり前と言っていいほど重要なポイントとなっていますので、断熱材をどのように家に施していくかにもこだわっていきたいところです。そこで今回は、断熱工法の1つである充填断熱工法のメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。
充填断熱工法とはどのようなものかについてまず紹介しておきましょう。それは、簡単に言うと、壁の中に断熱材が施される断熱工法になります。それに対して、外張り断熱は、壁や柱の外側に断熱材が張られ、建物全体が断熱材で包まれるようなイメージになります。充填断熱では、柱と柱の間のように構造材の間に断熱材が設けられますが、外壁であれば、その壁の外側に外張り断熱でもう一層の断熱層をつくるような2つの工法を組み合わせることも可能です。
写真:(C) photo 2016 Susumu Koshimizu
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それでは、ここからは充填断熱のメリットについて見ていきましょう。そのメリットとして一番に挙げられるのは、しっかりと断熱材の厚みがとれることです。外張り断熱の場合、構造材の外側に断熱材を施工するため、あまり断熱材の厚みが大きいと、その重みで不具合が生じてしまう可能性がどうしても充填断熱よりも高くなってしまいます。もちろん、外張り断熱でもきちんと施工すれば、しっかりとした断熱性能を期待できますが、充填断熱の方が比較的簡単に断熱材の厚みを厚くできることによる高い断熱性能の確保しやすさがあります。
写真:Takumi Ota
構造材の間に断熱材が施工されることから、外部の影響を受けづらく、断熱材自体が劣化しにくいというメリットもあります。外張り断熱でもきちんと施工されていれば十分に断熱材の劣化を抑えていくことはできますが、やはり外壁の外側など構造材の外に断熱材が施工されることから、充填断熱と比較すると、どうしても劣化の可能性は高くなってしまいます。断熱材が劣化しにくいということは、メンテナンスの必要性という面でも有利になります。
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費用が比較的安いことも、充填断熱工法の1つのメリットと言えるでしょう。充填断熱の場合、柱と柱の間に断熱材を入れるだけで済みますが、外張り断熱の場合、構造材の外側に断熱材を設けるスペースを設置する必要があるため、断熱材を施工するために下準備が必要となります。このようなことから、大工工事が増えてしまうことなどから、コストが割高になってしまうという傾向が外張り断熱には見られると思います。
写真:M.Ohta(STEP-image)
充填断熱に関して知っておきたいデメリットは、柱など構造材と断熱材が触れる部分や、非常に小さな部分など複雑な形をした部分に断熱材を施工する場合に、隙間が空いてしまう可能性があることです。当然、これもしっかりと施工すれば心配のないことですが、外張り断熱と比較すると、やはり注意が必要なポイントです。また、構造材の部分には断熱材が施されないことから、若干ではありますが、その部分の断熱性能が低下してしまうこともデメリットとして挙げられるでしょう。